第49章 菅田美月の過去

北条千雪は、目の前へ突然突っ込んできたトラックを見た瞬間、ほとんど迷いなく飛び出し、篠原茉優を突き飛ばした。

心の底では篠原茉優が好きではない。けれど、母をこれ以上悲しませたくなかった。父にも失望されたくなかった。

篠原茉優が生きていれば、両親は喜ぶ。

鷹司京介にも、寄りかかる先が残る。

もし自分が、彼女を助けて死ねたなら。

そうしたら、父さんも母さんも――もう私を嫌わないんじゃないか。

鷹司京介も、私を憎まなくなるんじゃないか。

そうなるなら、北条千雪は自分の命を差し出してでも、篠原茉優を生かしたかった。

今回こそ目覚めないと思った。

それなのに、どうして――まだ生きてい...

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