第54章 彼女に近づく者は皆ろくな目に遭わない

北条千雪は焦りで心臓が飛び出しそうだった。篠原茉優の動きが、ここまで早いなんて。息を整える暇すら与えてくれない。

起き上がってベッドを降りようとしたが、脚が言うことをきかない。無理やり動かそうとしても、感覚が薄いまま。

だから声を張り上げるしかなかった。

「看護師さん……看護師さん、誰か……助けて……」

お父さんのところへ行かなきゃ。

何かあったら、どうしよう――その恐怖が喉を締めつけた。

呼び声を聞いて看護師が駆け込んでくる。

「北条さん、どうしましたか」

千雪は必死に手招きした。今にもベッドから転げ落ちそうな勢いで身を乗り出す。

「車椅子を……お願い。手術室へ行きたいん...

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