第8章 唯一の取り柄はこの顔だけ

鷹司京介は椅子の背にもたれ、指先でグラスの脚を漫然となぞっていた。

その視線は、北条千雪の前に置かれた強い酒へ落ちる。わずかに眉が寄り、喉仏が上下した。目の奥には、本人さえ気づかない複雑な色が一瞬だけよぎる。

胸の底が、どうにもざわついていた。

何かが神経を細く引っかいているようで、落ち着かない。

その感覚が、余計に癇に障る。

鬱陶しくて、息苦しい。

北条千雪はそっと息を吐いた。

鷹司京介が助けてくれないことくらい、分かっている。逆らえば、もっと惨めな辱めが待つだけだ。

彼女は顔を上げ、辛辣な液体を喉へ流し込んだ。

烈酒は焼けた刃みたいに、喉を裂き、胃の奥まで一気に落ちてい...

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