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「ここは私有地だ」

私は弾かれたように振り返った。心臓が跳ね上がり、喉の奥がつかえるような感覚に襲われる。階段の一番上に男が立っていた。胸の前で腕を組み、私たちを見下ろしている。背が高く、肩幅も広い。潮風と太陽に晒された肌に、白髪交じりの髪が、静かな威圧感を漂わせていた。

パリッとしたリネンのシャツをカーキ色のショートパンツにタックインしている。その服装からは、さりげない富裕層の空気が滲み出ていた。彼の鋭い視線が私とウェイクの間を行き来し、私たちの荷物に少しの間留まってから、私の顔に定まった。

「あ、その、私たちはただ……」私は言いかけたが、声が震えてしまう。

「ここへ来るよう言われた...

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