チャプター 196

闘技場は混沌の渦と化していた。血が水中に広がり、まるで倒れた戦士たちと溢れ出した絶望を刻印するかのように、煙のような筋となって立ち上っていく。観衆の歓声はより大きく、より狂気を帯び、眼下で繰り広げられる殺戮を糧にして膨れ上がっていく。

ヒドラは弱っているとはいえ、止めることのできない猛威を振るっていた。噛みつく顎、打ち据える尾、うねり暴れるいくつもの頭部が、残像となって視界をかすめる。恐怖が怪物をより凶暴にし、その動作の一つ一つが闘技場の芯まで揺るがすほどの波動を水中に走らせる。だが、その只中にあっても、ウェイクとケイルは断固として立ち続けていた。彼らの隊列が必死に持ちこたえようとする中でも...

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