第二十五章

背後には果てしない海が広がり、うねる波が黄昏の空の深い青を映し出している。船は足元で静かに揺れ、湿った潮風が肌にまとわりつき、呼吸をするたびに肺を満たしていく。

クルーたちは上甲板に集まり、緩やかな半円を描くように立っていた。その表情は一様に緊張で強張っている。何かが起きようとしていることを、彼らは察しているのだ。それも、とてつもなく大きな何かが。今回ばかりは、それが彼らの勘違いであればいいのにと願わずにはいられない。

タイは腕を組み、表情こそ読み取れないものの、その体は硬く、悪い知らせに身構えているのがわかる。その隣にはタイラーがおり、コーラと私の顔を交互に見比べながら、心配そうに眉を寄...

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