チャプター 252

デルフィニウムの「変身」のためにあてがわれた部屋は、決して華やかとは言えない。刺すような白い照明、くすんだタイルの床、縁が錆びついた壁の鏡。だが、今はここが私たちの居場所だ。これで十分。

私とコーラは、医務室のスタッフから借りた小さなバッグから道具を取り出す。彼らは喜んで協力してくれた。ブラシ。小さなメイクパレット。シンプルなハサミ。リップクリーム。贅沢なものは何もないけれど、デルフィがこの一世紀の間持てなかったものを与えるには十分だ。それは、「自分らしさ」だ。

デルフィニウムは、廊下から引きずってきた椅子の端に、緊張した面持ちで腰掛けている。膝を揃え、両手を固く握りしめ、視線は私たちと鏡...

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