第二十六章

部屋へ戻る途中、前方から足音が聞こえてきた。目を向けると、コーラが反対方向へ、つまり医務室の方へ戻っていくのが見えた。彼女は集中しているようだが急いではおらず、そして間違いなく疲れていた。

「ねえ」

彼女の隣に並びながら声をかける。私の声には少しばかり得意げな響きが混じっていた。

「デルフィを探してるなら……今、留守よ」

コーラは横目で私を一瞥し、片眉を上げた。「ずいぶんとご満悦ね」

私はにやりと笑う。「ただ友達を助けただけだし」

コーラは鼻を鳴らしたが、その瞳は輝いていた。「ピーターと?」

「二人で『プリンセス・ブライド』を観てるわ」大したことではないという風を装い、私は軽く肩...

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