第258章

ショールは、まるでここが自分の領分であるかのような顔つきで部屋に入ってきた。両手を背中で組み、その足取りには見慣れた余裕と優雅さがある。背後で鏡張りのパネルが音もなく閉まり、彼が潜んでいた制御室の痕跡を消し去った。私はウェイクに視線をやる。彼から発せられる張り詰めた空気は、刃の切っ先のように鋭く強張っており、肌で感じ取れるほどだった。

「誇りに思うといい」ショールは小首をかしげ、ライルに向かって言った。「『深淵の災厄』を相手に、これほど長く持ちこたえたと言える者はそう多くない」

ライルは軽く一礼した。激しく肩で息をし、その体は汗と溶けかけた霜で濡れそぼっている。「光栄です」と彼は言ったが、...

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