第二十六章

角を曲がり、マーブルの基部にある下層ラボへと飛び込む。まさにその瞬間、私たちは「それ」を目撃した。長く、ぬめり、自然界にはあり得ない姿。かつてそれを閉じ込めていた観察槽――エニグマ・テックが設計した中でも最強の強度を誇る代物――は、まるで飴細工のように粉々に砕け散っていた。破片は氷のように床で煌めき、タイルに広がる海水の中に半ば沈んでいる。

その怪物は、ウナギのような形をした忌まわしき異形だった。粘液の膜で覆われた体は、ラボの冷たい人工照明の下で震えるように濡れた黒光りを放っている。だが、私の足を止めさせたのは、その脚だ。何十本もの細くひょろ長い脚が、脈動する胴体の下からクモの手足のように突...

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