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ピーターと二人でマリナの研究室を後にしたとき、私の頭の中は混乱の極みにあった。祖母が人魚――アンソゾア――かもしれないという事実を知らされ、自分について知っていると思っていたすべてが、音を立てて崩れ去っていくようだ。まるで足元の地面が滑り落ちていくような感覚に襲われ、確かなものを何一つ掴めないような心持ちだった。

隣を歩くピーターが、心配そうな表情でこちらをちらりと見る。「それで、どうするんだ? 君が……半分人魚かもしれないってわかった今、次はどう動く?」

私は息を吐き出し、完全な迷子になったような気分で首を横に振った。「わからないわ、ピーター。もう自分が何者なのかさえわからないの。私にで...

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