第5章

 ずっと、「いい娘」になろうと努力してきた。

 でも結局、私は部外者に勝てなかった。

 車窓の景色が飛ぶように過ぎ去っていく。私はシートに寄りかかり、潮のように押し寄せる記憶に身を任せた。

 十歳の誕生日のことを思い出す。

 私は朝早く起き、ダイニングのテーブルで両親が降りてくるのを待っていた。午前中いっぱい待ち続け、最後に執事がやってきてこう告げた。

「お嬢様、旦那様と奥様は佐代子様を遊園地へお連れになりました。冷蔵庫にケーキがあるから、一人で食べるようにと奥様が」

 私はだだっ広いダイニングに一人座り、ケーキに向かって願い事を祈った。お父さんとお母さんが、私をもう少し愛してく...

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