第167章

栗山加奈は、もう何も持っていない。だからこそ――全員を道連れに、地獄へ落ちるつもりだった。

世論は完全に暴走した。氷上グループの株価は寄り付きから底を割り込み、取締役会は夜通し緊急招集。氷上颯はかつてない信任危機に追い込まれ、社内では責任を取って辞任すべきだという声が日増しに大きくなっていく。

その嵐の裏で、五十嵐琉生は五十嵐グループ本社の最上階に座し、モニターに踊る数字を冷め切った目で見下ろしていた。

「篠宮菜帆の録音、トレンドの一番上まで燃え上がらせろ」

内線に向けて、淡々と命じる。

五十嵐グループの広報チームが水面下で火に油を注ぎ、世論の流れを精密に誘導した。篠宮菜帆の話題はト...

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