第57章

相葉栞里はその場に立ったまま腕を組み、胸くその悪いお涙頂戴の茶番を冷えきった目で見据えていた。唇の端に浮かぶのは、薄い嘲りだけだった。

「私にこの女へ謝れって? 身の程を知りなさいよ」

「おまえ、ひどいヤツだ! 加奈おばさんに謝れ!」

氷上颯が怒鳴るより早く、氷上辰也がいきなり飛び出してきた。

両腕をいっぱいに広げ、栗山加奈のベッドの前に立ちはだかる。

その小さな体で庇うようにしながら、相葉栞里をきっと睨みつけた。

目は真っ赤で、声は震えていた。けれど吐き出した言葉だけは鋭かった。

「今日、加奈おばさんに謝らないなら、もうおまえなんかママって認めない! ぼく、おまえなんて大っ嫌...

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