第10章 偽装が得意な億万長者

藤原修一は車を病院の入り口に止めて待ち、水原寧々が水原母を支えながら病院から出てくるのを迎えた。

藤原修一も車から降り、ドアを開けて手伝い、水原寧々が車に乗り込む際には頭をぶつけないよう手で守るように気を配った。

そんな細やかな気配りを見た水原母の顔には、満足げな笑みが浮かんだ。

藤原修一は運転席に戻り、「寧々、もう午後1時だし、お義母さんもお腹が空いているでしょう。医者も言っていたように、定時に食事をとるべきです。先に食事をしに行きませんか?」

藤原修一は本当に気が利く人で、水原寧々はそこまで考えが及んでいなかった。

「うん、任せるわ」

「わかりました」

藤原修一は車を発進さ...

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