第11章

佐藤恵子の一言で田中ひなの心はすっと軽くなった。この言葉こそが彼女の自信の源だった。

「でも...おばさま、聡はもうこの子を佐藤家に連れて来たんです。きっと二人の関係は普通じゃないはずです。中に入って聞いてみたいんです」

涙ながらの田中ひなの姿は見ていて可哀想になるほどだった。

佐藤恵子は急いで前に出て、彼女の手を取り、軽く叩いて慰めた。「まず落ち着きなさい。私もまだ状況をはっきり把握していないけど、安心して。林田知意にしても、あのざっしゅにしても、佐藤家の門をくぐらせるようなことはしないわ」

その時、田中ひなは理解ある様子を見せ、すすり泣きながら、儚げに首を振った。

「誤解しない...

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