第121章

佐藤聡は、腹の底で煮えくり返る怒りをどうにか押し殺し、傍らのソファに腰を下ろした。

その険しい顔つきを見て取った田中ひなは、慌てて佐藤恵子の元へと駆け寄る。

「お義母様、もうやめましょう。私だって偶然見かけてしまっただけで……本当は言うつもりなんてなかったんです。お義母様のお身体に障ったら大変だと思って」

「ひなさん、どうして隠そうとするの? あなたがそうやっていつも我慢ばかりしているから、聡もあなたのことを軽んじるのよ。善良であることと、弱腰であることは違うわ」

憤りを露わにしてそう言うと、恵子はひなを庇うように背中へ隠し、氷のような冷たい視線を息子に向けた。

「聡、ひなさんが見...

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