第142章

世の中に、千もの病を治せる薬なんて存在するはずがない。

まるで詐欺師の口上だ。

「だが、その薬を作るための薬草は極めて入手困難でね。だから手持ちも多くはない。今ここにあるのは、たった一粒だけだ」

「どんな病気かは言わなくていい。私を見つけ出し、私の薬を口にしさえすれば、どんな病魔に侵されていようとも必ず完治する」

林田知意は驚きのあまり、ぽかんと口を開けた。そんな魔法のような話があるだろうか? 小説だって、もう少し現実味のある嘘をつきそうなものだ。

佐藤聡と林田知意がその効能に驚愕している間に、高橋契だけが横塚昌利の言葉の核心に気づいていた。

「横塚さん、今お手元には一粒しかない...

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