第145章 跡は残らない

その言葉を聞くと、横塚昌利は眉をひそめ、不機嫌さを隠そうともせずに林田知意へと視線を向けた。

「この男、古傷に新しい傷が重なってやがる。今日俺に会えたからいいようなものの、そうでなきゃ早晩くたばってたところだ」

林田知意は呆気にとられた。この男、葉田南霆に触れて診察したわけでもないのに?

病院にあるようなハイテク機器を使わないのは百歩譲るとして、脈診さえしないというのか。

ただ葉田南霆のそばに座り、無造作に一瞥しただけで怪我の状態を見抜いたとでも?

それどころか、葉田南霆の身体にある傷が、古いものか新しいものかまで判別している。

林田知意は思わず感嘆した。どうやらこの男、口だけで...

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