第23章

「まあまあ、ひなちゃん、泣かないで。目が腫れちゃったら可愛くなくなっちゃうわよ。叔母さんも女だから、あなたの気持ちはよく分かるわ。でもね、こんな状況なのに、そんな言葉が言えるなんて、叔母さん感動したわ」

田中ひなは頷いて、辛そうに横によりかかった。

「叔母さんがいてくれて本当に良かった。あなたがいなかったら、これからどうすればいいか分からなかったわ。でも私、本当に聡くんのことが好きなんです」

佐藤恵子は急いで彼女を慰め、優しく背中をさすった。

「分かってるわよ。叔母さんは全部分かってるわ」

田中ひなは芝居を演じ切り、佐藤家の本宅を離れて自分の家に帰ると、佐藤恵子から受け取った親子鑑...

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