第29章

林田知意の表情は冷たく、そう言い残して学校を去り、教師一人を戸惑いながら玄関に立たせたままにした。

本当に不思議なことだ。

自由は確かに佐藤聡さんのお子さんなのに、どうして自由のお母さんは佐藤夫人ではないのだろう？

教師は仕方なく首を振った。お金持ちのプライベートは自分たちには想像もつかないものだ。

林田知意は学校を出た後、直接北村南の会社へ向かった。北村南はすでに運転手を手配し、会社の下で待っていた。

「林田社長、昨日の午後出かけたときに適当な商店街をいくつか見つけました。今日特に予定がなければ、一緒に見に行きませんか」

林田知意は頷いた。

「いいわ、まずは会社から一番近い通...