第32章

「どうして?あなたは堂々たる佐藤グループの社長ではないですか。私はただあなたに恨まれている人間に過ぎないのに」

そう言うと佐藤聡を押しのけようとした。ここが田中翔太のオフィスだというのに、佐藤聡は遠慮なく彼女に覆いかぶさってきた。

その大きな手が滑らかに林田知意の服の中へと滑り込んでいく。

彼は瞳に戯れる色と迷いを浮かべながら、わざと彼女の耳元に息を吹きかけた。

林田知意は思わず全身を震わせた。まるで電流が耳から一瞬で全身に走ったかのようだった。

四年の月日が流れても、この男は依然として彼女の敏感な部分を容易く捉えることができる。

「お前も俺がお前を恨んでいると知っているのに、な...

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