第49章

会場の入り口で頭を寄せ合って話している二人の姿は、周囲の人々にはまるで恋人同士のように映っていた。

「わぁ、あの二人の笑顔見て。何を話してるのかしら?」

「本当に才色兼備のカップルね。こんな絶妙な光景、今まで雑誌でしか見たことなかったわ。まさか現実で目にするなんて」

佐藤聡を探し回っていた田中ひなは、あたりを見回している時に、ふとその二人に視線が留まった。

本来なら、この会場に誰が来ようと彼女にとっては関係のないことだったが、林田知意に視線が釘付けになると、もう足が動かなくなった。

「あの女性、誰?」

田中ひなは驚いて尋ねた。

「分からないけど、田中翔太の隣にいるし、こんな場所...

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