第7章

佐藤聡の表情はいつもと違って厳しかったが、その腕の中に小さな影が飛び込んできたとたん、目の奥に優しさが灯った。

林田自由の小さな唇は天まで上がりそうなほど笑みで溢れ、歯を見せながら佐藤聡の胸元でもぞもぞと動いていた。

「パパ、やっぱり私のこと恋しかったんでしょう?」

林田自由の大きな瞳に澄んだ輝きが走り、密かに得意げな様子だった。

今朝早く起きたかいがあって、またパパに会えるなんて。

佐藤聡はいつも無愛想で、会社の重要なクライアントに対しても笑顔を見せることは稀だった。しかし今、目の前の小さな女の子を見下ろす時、その目元に浮かぶ笑みは抑えられないものだった。

彼は長い人差し指で林...

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