第9章

「お父さん……お父さんどこにいるの？」

声を聞いて、佐藤聡は急いでソファから立ち上がり、大股で寝室へ向かった。

佐藤恵子は驚いた顔で部屋の中を覗き込み、思わず息を飲んだ。

子供？

目の錯覚ではないよね？

彼女は佐藤聡の部屋で子供を見たのだろうか？

以前、佐藤家のパーティーに突然子供が現れたという話は聞いていたが、佐藤恵子が状況を把握する前に、パーティーは中止になってしまった。

彼女はそれをただの出来事として、特に気にしていなかった。

「起きたの？」

佐藤聡は部屋に入りながら優しい声で話しかけた。

自由は小さな手で眠そうな目をこすった。

「お父さん、ここはどこ？」

自由...