第163章 一文の価値もない

しかし、福江良平はそれ以上深く考えようとはしなかった。

彼は水無月詩織に声をかける。

「水無月先生」

水無月詩織は何でもないという風を装って応じた。

「福江さん、雫ちゃんがまた発作を起こしたと聞きましたが」

水無月詩織は雫のベッドサイドに近づき、彼女の様子を観察すると、冷静な口調で福江良平に告げた。

「これは、急性ストレス反応症候群ね。おそらく幼少期にこの種の強い刺激、あるいは虐待を受けたことがあるのでしょう。似たような状況を目撃したことで、脳裏に刻まれた恐怖の記憶が呼び覚まされ、一連のストレス反応を引き起こしたのです」

福江良平は頷く。

「ああ。さっきアンキラ国際学院の廊下...

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