第170章 焦った

高橋北は、わけがわからず呆然としていた。水無月詩織の買い物にこれほど長く付き合わされ、もはや疲労困憊、空腹と喉の渇きで限界だったのだ。

オーダーも済ませたというのに、あろうことか水無月詩織は、彼に飲食を禁じたのである。

温厚な高橋北といえど、さすがにこれには腹に据えかねた。

「水無月さん、もうずいぶん時間も経ちましたし、俺は仕事に戻ります」

そう言い捨てると、水無月詩織の返事も待たず、彼は大股で車の方へと歩き出した。

水無月詩織は何か言いかけたが、思い直して口をつぐんだ。まあ、いいだろう。

今回のショッピングは、収穫があったと言える。

福江良平に散財させただけでなく、思いがけず...

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