第180章 彼女を見た

「僕は清美さんの母親に約束したんです。あなたの『元』お義母さんにね」

守谷栄は、わざとらしく『元』という言葉を強調して言った。

「彼女を連れ帰ると約束したんです。おばさんは今も家で、焦燥しきって娘の帰りを待っている。福江良平、あなたは年老いた女性を深夜まで起たせ、娘の身を案じて一睡もさせないつもりですか?」

福江良平はソファに腰を下ろし、ゆったりと足を組んでリラックスした姿勢をとった。タバコを一本取り出すと、鼻先で軽くその香りを嗅ぐ。

長野久美子が慌ててライターを取り出し、火をつけた。

福江良平は紫煙を深く吸い込み、ゆっくりと輪を描くように吐き出す。

彼は気だるげな視線を守谷栄に...

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