第182章 また身の下に

中村颯太(なかむらそうた)は、心底傷ついたような表情を浮かべた。

「マークス、昨夜酔っ払って俺をベッドに押し倒したのは、あんたの方だったと記憶してるけど」

マークスは頭を抱えた。

昨夜の記憶が、奔流のように脳裏に蘇ってくる。

紫月ホールの前で、中村颯太と睨み合っていたこと。

千葉清美(ちばきよみ)が姿を見せなかったこと。

鈴木舞(すずきまい)からの電話を受け、中村颯太と共に宴会場へ駆けつけたこと。

その時、電話をかけながら慌ただしく立ち去る背中に見覚えがあった。山本教授の助手、守谷栄(もりやさかえ)だ。

千葉清美が深く信頼している男でもある。

守谷栄は千葉清美の居場所を突き...

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