第196章 そう言わなきゃならない?

骨川陽は五十歳前後で、白くむくんだ肥満体だ。背は低く、低い鼻梁に乗った眼鏡の奥からは、抜け目なさと貪欲さが透けて見える。

彼は立ち上がると、千葉清美の隣の席へと移動し、腰を下ろした。

突然の距離の近さに、清美は不快感を覚える。だが、相手は是が非でも攻略しなければならない大口の販売業者の一人だ。彼女は心の中で自分を宥め、じっと耐えた。

骨川はダイニングテーブルに肘をつき、清美に顔を近づけてくる。

清美はうつむき加減になり、バッグを取るふりをしてさりげなく横へずれた。

そして、中から資料を取り出す。

「骨川社長、こちらが千葉グループの製品詳細になります。お目通しいただけますでしょうか...

ログインして続きを読む