第206章 一晩を買う

水無月詩織は信じられないといった面持ちでベッドに座り込み、掛け布団を抱きしめながら、福江良平が閉ざしていった扉を見つめていた。

まさか、このまま行ってしまうなんて。

私と体を重ねたことを知った上で、あんなにも非情に私を一人残して、立ち去ってしまうなんて。

好意は伝えたはずだ。なのに彼は、まったくの無反応だった。

抱きしめてキスをしてくれるどころか、優しい言葉ひとつさえなかった。

水無月詩織はベッドを降り、黙々と服を身につけた。

福江良平の中での自分の立ち位置は、もう痛いほど理解できた。

彼にとって私など、これっぽっちの情もない存在なのだ。

彼は最近も、雫ちゃんの治療ができる医...

ログインして続きを読む