第213章 偶然か?

根拠などない。だが福江良平は確信していた。この花束を持ってきたのは、千葉清美だと。

彼はナースステーションの前に立ち、その花束をじっと見つめていた。

向日葵の円盤は、微笑む千葉清美の顔によく似ている。

若い看護師が立ち上がり、彼に微笑みかけた。

「35番ベッドの福江良平様、何かお困りですか?」

福江良平は我に返り、彼女に微笑みを返した。

「いや。ありがとう。きれいな花だ」

看護師は向日葵に目をやった。

「ええ! さっききれいなお姉さんが私にくださったんです。お見舞いかと思ったんですが、廊下でしばらく立ち止まったまま、帰ってしまわれました」

その言葉を聞いた瞬間、福江良平の心...

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