第241章 薬

水無月詩織は、頭から布団を被ったままの雫ちゃんをちらりと見やった。

彼女の瞳に、一瞬冷たい光が走った。

だが、福江良平に向き直った瞬間、その冷たさはまるで最初から存在しなかったかのように消え失せた。

彼女が福江良平に見せるのは、常に完璧で非の打ちどころのない笑顔だけだ。

「良平、雫ちゃんはまだ情緒が不安定みたい。このままだと、今後の回復に障るんじゃないかと心配だわ。五代さんはいるかしら? 少し薬を出したいから、彼女を呼んでもらえる?」

福江良平は頷いた。「五代さんならずっとドアの外で控えている。呼んでこよう」

「いいえ。私が外へ行って彼女に声をかけるわ。一緒に薬局へ行くから」

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