第298章 食いたがってる

水無月詩織は彼の自嘲を取り合わず、さっさとソファに腰を下ろすと、自分で水を注いで喉を潤した。

「ここの使用人は? どうして誰もいないの?」

「お前が福江を離れてから、誰も俺に金を貸してくれなくなった。何で人を雇えって言うんだ」

水無月詩織はぎょっとして、コップを口元で止めた。

「……何ですって?! 会社はどうしたの?」

水無月お父さんは深く項垂れた。

「千葉智子が、上場のために莫大な資金が要ると言ってな。会社を売れ、と。金は全部、あいつのところに預けた。毎月、生活費として一部だけ渡してきて、家の出費はそれで回してた」

胸の奥がすうっと冷える。水無月詩織の声は、震えを隠せなかった...

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