第460章 地位

かつてB国にいたころ、彼らは大富豪というわけではなかった。だが少なくとも、日々の暮らしに追われることは一度もなかった。

父がまっとうな仕事をしているところなど、卓央は見た記憶がない。それなのに住む家はしょっちゅう変わり、ガレージには高級車が何台も停まっていた。家には使用人までいて、食事も衣服も身の回りも、何不自由なく整えてくれる。

子どものころから周囲は、卓央を金持ちの坊ちゃんだと思い込んでいた。衣食住に困らず、将来も約束された若様――そんな目で見られ続けてきた。

それが揺らいだのは、ある日、父に連れられて銀行へ行き、小切手を換金したときだった。

VIP用の応接室で、雲田水介は静かに...

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