第487章 もがく

千葉清美は守谷栄の目をまっすぐ見つめ、真摯に言った。

「栄さん、お金なんて……生きているあいだ持ってるだけです。死ぬときは何ひとつ持っていけない。わたしが失ったのは、所詮ただの持ち物です。それだけで雫ちゃんの健康が戻るなら、むしろ望むところ。わたし、まだ交渉できる手札が残ってるってことを喜ぶべきなんです」

守谷栄はようやく彼女から目を逸らさずにいられた。瞳の奥に涙が溜まる。

「清美……雫ちゃんに代わって、ありがとう」

「栄さん、何言ってるんですか。わたしがしてるのは、雫ちゃんへの恩返しです。わたしの息子を助けるためじゃなかったら、雫ちゃんがこんな病気の苦しみを背負う必要なんてなかった...

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