第535章 誘拐

黒ずくめの連中は問答無用で、二人に襲いかかった。

千葉清美に格闘の心得などない。護衛が一人いたところで、この人数を相手にできるはずもなかった。

あっという間に護衛は地面へ押さえつけられ、千葉清美は車の一台へ引きずり込まれる。

必死にもがきながら、彼女は護衛に叫んだ。

「福江良平を呼んで! 助けてって……!」

車は彼女を乗せたまま、砂埃を上げて走り去った。

殴られて顔は腫れ、服も乱れ、護衛はみじめな有様だった。それでも千葉清美の言葉を聞くや否や、携帯を取り出して福江良平へかける。だが、何度かけても話し中――。

焦りでその場をぐるぐると回った、そのとき。

足元に落ちている千葉清美...

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