第540章 彼を誘惑する

福江良平は信じられず、別の時間帯の映像も開いた。そちらはどれも、問題なく再生できる。

綸ほどの腕があれば、こんなものは簡単に消せるはずだ。

それなのに残っている。だからこそ、あの子が綸だという証明になってしまう。

良平はスマホを取り出し、すぐに千葉清美へ電話をかけた。時刻はすでに深夜――いや、ほとんど明け方に近い。

千葉清美が眠っていないことくらい、わかっている。

案の定、呼び出し音が鳴った瞬間に通話がつながった。

「良平、綸は見つかった?」

良平は言葉を詰まらせてから答える。

「……いや。明華ホテルを出た。ここで俺を見たんだろ。ここが金田の持ち物だってことも察したはずだ。た...

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