第579章 銃殺

「そのままでいい」福江良平は浴室から出てくるなり、金田千児の手にあるミルクのカップをちらりと見た。

千児はミルクを置き、言いかけて飲み込む。「お父さん、明日退院で……」

「明日でいい」冷えた声で遮られ、視線が彼女の平らな下腹へと滑った。

翌朝。千児が気づいたときには、良平の部屋はもぬけの殻だった。ベッドは誰も寝ていないみたいにきっちり整えられ、携帯は電源が落ちている。

胸の奥がざわりと跳ねた。――このまま、何も言わずに私の前から消えたの? 挨拶ひとつもなく? 別れの言葉すら残さず? もうA市へ帰ったの?

「お嬢様、監視カメラの記録では、福江さんは午前三時にお一人で屋敷を出られていま...

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