第13章 最後の見栄

(牧野結菜の視点)

福山真司から電話がかかってきたとき、私はちょうど薬を飲もうとしていた。

「夜7時、家でパーティーがある。運転手が迎えに行く」

「行きたくない」

声は自分でも驚くほど平らだった。けれど後頭部の傷はまだじくじく疼くし、昨日ぶつけた膝の痣も引いていない。ああいう場に行ったところで、結局また嫌な思いをするだけだ。わざわざ自分から傷口を開きに行く必要なんて、どこにもない。

「相談じゃない。牧野結菜、ばあちゃんとの約束を忘れるな。お前は一日でも福山夫人でいるなら、福山夫人としてやるべきことをやれ」

また、その台詞。

この三年、彼は何かあるたびにそれで私を黙らせた。私はい...

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