第16章 砕け散る

(福山真司の視点)

あの夜、俺は接待で深夜まで飲まされて、酒臭い息をまとったまま別荘へ戻った。

ドアを開けた瞬間、足が止まる。

リビングに積まれていたはずの、梱包済みの段ボールが消えていた。玄関に並んでいた、彼女がいつも履いていた靴もない。

嫌な予感が、背骨を這い上がる。

二階へ駆け上がり、部屋のドアを乱暴に押し開けた。

クローゼットの扉が開いたままになっている。中にあったはずの服は、跡形もなく消えていた。

バスルームへ飛び込み、洗面台を見た。歯ブラシも、タオルも、化粧品も――彼女のものだけが、きれいに空になっている。

この家に、彼女が最初からいなかったみたいだ。

……人は...

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