第175章 互いに下心がある

【福山真司の視点】

留置場の灯りはまだ消えない。天井の照明が、ぶうん、と低く唸っている。俺は壁にもたれ、天井を睨んだまま、岩瀬があとから話してくれた「全部」を頭の中で反芻していた。

あの日、実家で。

じいさんは長い沈黙のあと、ようやく口を開いたらしい。

「重要案件はすべて株主総会にかけろ。誰にも勝手な真似はさせん。小さい案件は……守に見張らせろ」

その言葉を聞いた瞬間、山川さんは口を開きかけて、結局閉じたという。

守に見張らせろ――俺の親父に、だ。

俺が社長に就いてから、大きいことも小さいことも全部、自分の手の中に握り込んできた。親父は名ばかりの社長にされ、事実上の早期引退。

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