第180章 彼はもっと狂う

(牧野結菜の視点)

スマホが鳴った。表示された名前は岩瀬さん。

出ると、彼の声はやけに低い。何かを必死に押し殺しているみたいだった。

「牧野さん、岩瀬です。どうしても伝えなきゃいけないことがあります。でも……聞き終わるまで、切らないでくれますか」

「……言って」

彼は一度、大きく息を吸った。

「今日、留置場で福山社長に会ってきました。防犯カメラの復元結果を受け取ったんです。3月12日のガス漏れは事故じゃない。誰かがガスの元栓をいじってます。やったのは、村山愛未でした」

指がマウスの上で止まった。動かない。

岩瀬さんはそのまま続けた。いつもよりずっと早口で、止まったら言えなくな...

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