第186章 私は病気じゃない

(福山真司の視点)

俺は目の前の男を、頭のてっぺんからつま先まで舐めるように見た。口調は子どもをあやすみたいに柔らかいくせに、視線だけが人の腹の底まで見透かすように鋭い。

精神科医――。

じいちゃんは、俺を狂人扱いする気か。

「俺は病気じゃない!」

声が跳ね上がった。屈辱で喉が焼ける。男を睨みつけ、吐き捨てる。

「お前、何者だ。誰の許可で入ってきた」

男は笑みを崩さない。あくまで穏やかに言う。

「福山さん。少しお話をさせてください」

「話?」

俺は鼻で笑った。胸が激しく上下する。

「話すことなんかねえ。出ていけ!」

起き上がろうとしたが、鎮静剤がまだ残っている。身体が...

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