第187章 チャラ

(福山真司の視点)

唇がわずかに動いた。けれど、言葉が一つも出てこない。

「今さらそんなことを言って、相手を想ってるつもりかい」

祖父の杖が、こつん、と床を軽く叩いた。

「違う。そんなものは相手を想う気持ちじゃない。自分勝手というんだ。君は贖いたいんじゃない。彼女を失う痛みに耐えられないだけだ。世話をしたいんじゃない。自分の枷を、もう一度あの子の首に掛け直したいだけだ」

「違う!」

叫んだ瞬間、胸が大きく上下し、胃の傷が引きつった。痛みで額に冷や汗がにじむ。俺はただ、彼女に優しくしたいだけだった。過去三年、俺が彼女に負わせた分を、全部取り戻したいだけだった。

「違うかどうかは、...

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