第189章 芝居をやり通す

【福山真司の視点】

留置場のベッドは、病院のそれよりずっと硬い。俺は背を起こして壁にもたれ、向かいの白い壁だけを見つめていた。

ガチャリ、と扉が開く。

岩瀬が入ってきた。手にはひとつのバッグ。顔つきが、どこか妙だ。

「福山社長。大旦那様からです」

岩瀬はバッグをベッド脇に置く。

「会社で滞っている書類を、毎日決まった時間に差し入れるように、と。オンライン会議が必要な分は、向こうで段取りします」

俺はバッグを見て、口元だけをゆっくり吊り上げた。

――おじいちゃんは俺を試している。俺が本気で反省しているのか、それとも芝居なのか。

「置いとけ」

俺が言うと、岩瀬は一瞬ためらい、...

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