第197章 お人好し

(牧野結菜の視点)

またスマホが震えた。平山里穂子からのメッセージが、連射みたいに次々と飛んでくる。止まる気配がない。家に着いたらさすがに落ち着くだろうと思っていたのに。岩本源の悪口をあれだけ言い続けたんだ、喉だって枯れているはずだ。けれど彼女は、まだ全然足りないらしい。

『結菜!!! 兄貴にバレた!!!』

感嘆符がずらりと並んで、画面の大半を埋め尽くしている。

私は濡れた髪にタオルを引っかけたまま、パジャマの肩にぽたぽた落ちる雫の冷たさに身をすくめた。手を拭いてから打つ。

『何が?』

『クルーズ船で岩本源に会ったこと!!!』

すぐに続く。

『玄関入った瞬間、書斎の前に寄りか...

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