第206章 彼女は私を待っている

(福山真司の視点)

スマホが震えた瞬間、会社のメールだと思った。実家の書斎には振り子時計の音しかない。カチ、カチ……まるで、俺があとどれだけ耐えられるか数えているみたいに。

留置場を出てまだ二十四時間も経っていない。祖父は俺をここに閉じ込めた。「しばらく休め」なんて体裁のいい言い方をしているが、要するにまた面倒を起こさないよう監禁しているだけだ。階下ではボディーガードが二人、交代で歩き回っている。カーテンの隙間を、影が行ったり来たりするのが見えた。

机の上のプロジェクト資料は三回めくった。なのに一文字も頭に入らない。脳裏を埋め尽くすのは、結菜のことばかりだった。

画面が点く。岩瀬から...

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