第216章 彼女は目を覚ました

(福山真司の視点)

岩瀬がもう一度ドアを押し開けて入ってきたとき、顔色が明らかにおかしかった。手には紙コップ。中の水はすっかり冷め、カップの外側に水滴がびっしりと張りついている。

「福山社長、集中治療室のほうで……問題が起きました」

俺は顔を上げた。心臓がぎゅっと握り潰される。

「牧野さんがさっき……一度、目を覚ましました」

指がシーツを掴み、関節が白くなる。

「目を……?」

「ほんの数十秒です」岩瀬は声を限界まで落とした。「心電モニターが急に警報を鳴らして、廊下まで響きました。医者と看護師が駆け込んで……牧野さん、目を開けたんです」

「……何か言ったのか」

喉の奥から、無...

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