第223章 言葉の使い方

(牧野結菜の視点)

おかゆの器が空になった。平山里穂子は弁当箱を片づけ、ふたをきゅっと閉めてテーブルの上に置く。平山徹也はまだドアの脇にもたれたまま、立ち去りもしなければ急かしもしない。ただ静かに、そこにいるだけだ。スマホが鳴り、彼はちらりと画面を見て数文字打ち込み、ロックしてポケットへ放り込んだ。

私は視線を落とす。喉を滑り落ちたおかゆが胃の奥で、じわじわと何かを押し広げていく感覚がした。満腹とは違う。長いあいだ何も通らなかった場所に、急に温度が戻ってきたみたいな、見知らぬ違和感。ここ数日、腹の中はずっと空っぽで、空腹という感覚そのものを忘れていた。いまはそのぬくもりが胃から胸へと滲み...

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